山羊座

大空を見上げて山羊座の星座を探してみましょう。山羊座は二等星以上の星がないため、よく目をこらして見つめてみてください。山羊座は古代バビロニア時代から知られていた星座で、その頃は冬至点が山羊座にあったとされています。冬至点は地球の傾斜運動のために移動していくため、現在は射手座にあるとされています。歴史ある星座だと言えるでしょう。
星座の紹介で、山羊座のイメージ画を見たことがありますか?上半身が山羊、下半身が魚の姿で描かれています。なぜこのような姿をしているのでしょうか。その答えはギリシャ神話にあります。
山羊座の物語の主役は牧羊神のパン。パンは頭に山羊の角と毛の生えたとがった耳を持っており、上半身は人間、下半身は山羊という姿をしていました。陽気な性格で仲間たちと森や岩山を駆け巡り、妖精に恋したり、葦で作った笛を吹きつつ騒いだり、自由気ままに暮らしていました。
ある日、ナイル川のほとりで神々の宴会が催され、そこへいきなり怪物テュフォンが現れたのです。一斉に逃げる神々に続き、パンも逃げようと魚に変身してナイル川へ。よほど慌てていたのでしょう。残念ながら魚に変身できたのは下半身だけ、その奇妙な姿を記念して、ゼウスが山羊座として空に上げたのです。
みなさんは山羊座の人と聞くとどういうイメージを浮かべますか?生真面目で堅実、星占いではそう書かれていることが多いようです。
ヤギは一歩一歩確かめるようにして山を登っていきます。しかし安全な野原では思う存分駆け巡るパワーを発揮します。
あなたの知り合いにも、仕事では真面目だけれど、プライベートでは茶目っ気を発揮する、まるで陽気なパンのような山羊座の友人はいないでしょうか。このサービス精神も山羊座の魅力の一面です。


支配星が土星の山羊座は、強い忍耐力を持ち社会的な頂点を目指していくことが人生のテーマ。

山羊座の支配星は土星です。土星は忍耐や権威、規律、組織、責任感を表します。
山羊座が足元を確認するように昇っていく山は権威の象徴。山羊座の人は自分が属している世界で、少しでも上のポジションを目指そうと努力します。いつか上に登れたら、というようなあやふやなものではなく真剣に。その穏やかな表情の下には熱い野心が隠れているのです。確実に達成したい目標があるから用心深くなり、迂闊な行動は取らなくなる。リスクを避けるために現実主義となり、きっとなんとかなるだろうという日和見主義には陥りません。自分の立場を危うくするライバルの行動にも敏感です。楽観視することはなく、周囲の人の行動、反応もしっかりと観察します。この観察力がよい方向で現れるのが山羊座の人が時折発揮するサービス精神です。周囲の雰囲気を読む洞察力に優れているからこそ生まれる気遣い。場を和やかにするために自分が道化を演じるのです。
そういった意味では、気持ち良い環境作りにも「真面目」なのです。あながち、山羊座の人は真面目、という定義は間違っていないのかもしれません。

山羊座の支配星、土星は「時」を表すとも言われており、山羊座の人は歴史や伝統に敬意を払います。重ねられた時があってこそ、今があるということを心の奥底で知っているからです。社会の組織の中で活躍を目指すためには、先人の知恵を自分の知識とすることは大きな成長のきっかけをもたらします。また年配者への尊敬は頼もしい味方を自分に呼び込むことになります。山羊座の人が持つ社会性には、自分を守り、成長していくために生まれた本能なのかもしれません。


山羊座は地のエレメント。現実的で堅実。

星座はその性質により火、地、水、風のエレメントに区分されます。山羊座は地のエレメントに分類されます。地のエレメントの星座は感覚を重要視します。それは、実際に感じられる五感を重要視するということ。この間飲んだワインがとても美味しかった。お店の人がこれもお勧めというけれど確実に美味しいものが欲しい。だから今回もこのワインを買おう。そういったように自分が体感したことを重要視して行動するようになるのです。
山羊座の人は慎重だと説明してきました。たとえば一度飛び越したことのある跳び箱を前にしたら、山羊座の人は躊躇なく挑戦していくことができるでしょう。安心できるものに対してはそこまで用心することがないのです。しかし、未知のもの、未経験のものにはそうはいかないのが山羊座の資質です。これから音楽を聞いてください。この人は才能があるからきっと成功します。投資しませんか、と言われても、信用できる証拠がない限り、なかなか腰を上げようとしないのです。

山羊座の人にとって安心感を得ることは大切なことです。安定は自分の今までの行動が間違えていないことを証明してくれるからです。ですから山羊座の人は人間関係でも不安定さを苦手とします。それを避けるために、秩序やルールを大切にするようになるのでしょう。ときには人間関係を穏やかにするために、自分の内に秘めたエネルギーを抑制することもあります。これが、社会性が高いとされる所以でしょう。そして抑えられたエネルギーは自分の目標を達成するための情熱に還元されていくのです。
また山羊座の人が重要視するもうひとつに経済力があります。お金は現実的なもので、最も信用できるものだからです。だからと言って銭守奴というわけではありません。経済力を得るということは自分の努力の結果が形になるということ。ですから山羊座の人は経済面で自立し、社会に求められることで、自分に自信を持ち、喜びを感じるのです。


「活動宮」の山羊座のテーマは「社会性」。

占星術では行動力の性質で、活動宮、柔軟宮、不動宮の3種類に区分されます。山羊座は活動宮(カーディナル)になります。言葉通り、アクティブに動く性質を示します。山羊座のテーマは「社会性」ですから、彼らの動く場所は身近な社会になります。学生であれば学校、成人であれば会社や地域になるでしょう。山羊座の人は安定した企業に入ったからもう安心、動かないという発想はありません。目標を見つけ、動き、業績を上げます。そうやって一歩一歩、階段を上っていくように、目の前にある社会でポジションを高めていこうとするのです。

占星術では天体を12の宮に振り分けこれを黄道12宮(または獣帯)といいます。太陽はこの12の宮を一年かけて移動していくことになります。10番目のサイン磨羯宮に入っている時に生まれた人が山羊座になるのです。1番目の白羊宮(牡羊座)では自我が目覚め、2番目の金牛宮(牡牛座)で所有欲が生まれ・・・このように、宮(サイン)が進むごとに各星座のテーマが進化していきます。そして山羊座のテーマは社会で功績を残すこと。
例えば、起業して世界で名だたる企業の代表者になりたいという願いを持った山羊座の人がいるとしましょう。しかし、現実的には一歩、及ばない。それでも夢を追い続けるかと言うと、山羊座の人は現実に沿うように夢の形を変えていくのです。大きな企業で海外を相手に活躍するリーダー、それが次の目標になるのです。
しかしそれは夢がないと悲しむべきことではありません。彼らにとって、夢の形が変わっても、現実としてちゃんと目標を叶えていることが重要なのです。山羊座の人は野心家でありながら、非常に誠実なところがあり、社会で貢献し、そして認められることで満足感を得ることができるのです。その社会を守るために、ときに人に厳しくなることもありますが、そのストイックさがあるからこそ、人から信頼を集めることになるのでしょう。年を追うごとに円熟さが増していく星座でもあるので、老長けてなお魅力が増す、奥深さを備えているのです。


悪魔
最後にタロットで山羊座を研究してみましょう。
タロットには各星座に紐づけされたカードがあります。山羊座のタロットカードは「悪魔」です。山羊座の支配星、土星も「SATURN(悪魔)」です。誘惑の囁き、破壊など悪魔から連想するものはあまりよいものではありません。まして、真面目で正義感の強い山羊座とは相いれないように感じてしまう人もいるでしょう。

ステラタロットでは悪魔のカードは、黒い角を生やした半獣神が描かれています。その角と顔は山羊のものです。ステラタロット以外でも多くのタロットで悪魔には山羊の半獣神が使われています。それには理由があるのです。12月後半から1月にかけて生まれた人が山羊座になります。この時期は冬。日照も少なく、大地は不毛となります。闇の世界を連想することから、山羊は黒魔術の象徴としても使われるようになったのです。そのため、山羊は悪魔を表すものとして位置づけられているのです。悪魔のカードは欲に負けたことによる不幸を意味していますが、それは同時に、欲望に対する戒めとなるメッセージも隠されているのです。

自分を制し、前向きに努力を続けていけば道は開け、大きな幸福が手に入る。
これこそが山羊座の人の生き方そのものではないでしょうか。山羊座の人は野心家であると言われます。しかし、汚い手を使って権力を手に入れようとしても、その栄光は長く続きません。努力なしで横取りするように手に入れた栄光がどれだけ薄っぺらく、価値のないものか、山羊座の人は本能で知っているのでしょう。だから山羊座の人は焦りません。望みを叶えるために計画をしっかりと練り、慎重に進みます。なにも考えず、いきなり走り出すようなエネルギーの無駄使いはしないのです。一か八かの勝負を繰り返し、若いうちに権力を駆け上った、そういう山羊座の人は少ないでしょう。

また、山羊座の人は現実的です。大きな夢を見ることよりも、夢を実現するためにどういう行動を起こすかを重視するからです。夢を見るのは誰でもできますが、それを行動に移すのには労力と現実的なビジョンを立てられる能力が必要になります。夢がある、ならば実現しよう、と思える山羊座の人は、ある意味、目標を手に入れようとする「欲」が誰よりも強いのかもしれません。そしてその欲があるからこそ、努力と、諦めない忍耐力が生まれ、失敗を避けるために自制心が育まれるのでしょう。欲も幸福を得るために必要。そんなメッセージを悪魔のカードは囁きかけているのかもしれません。
ページトップへ戻る